ダナン現地レポート

ベトナム飲食店投資と回収の全体像

KENKOU DRAFT BEERで一生懸命働いてくれたスタッフたち
弊社KENKOU GROUPは、2022年6月から2026年2月まで、ダナンのドラゴンブリッジ近くでレストラン(KENKOU DRAFT BEER)の経営をしておりました。
2026年2月、自主的に撤退したこのレストランについて、ベトナムでの飲食店進出において気になる"いくら投資"して、"どう回収したか"のリアルな実例を紹介します。
※2022年から2026年当時の金額(ベトナムドン)で、日本円換算は2026年4月現在のレートになります。
初期費用:7億ドン(約420万円)
初期費用の7億ドン(約420万円)は、1.2億ドン(約72万円)を6ヶ月分の敷金へ、リフォーム費用に3億ドン(約180万円)、残りの2.8億ドン(約170万円)を厨房設備、家具等のインテリア費用へ充当しました。
なお、7億ドンは現在のレートで約420万円ですが、2022年当時のレートで350万円程度でした。
事業利益による回収
創業初年度(2022年)は93,742,710ドン(約56万円)の赤字(営業損失)を計上したものの、2023年、2024年と黒字化し、事業開始から約3年で純利益のみで初期投資7億ドンの100%を回収しました。
実務労働報酬および経費による回収
運営に関わるオーナー3名は、利益分配とは別に給与も受け取りました。
さらにレストランでの会合費を接待交際費として店舗負担で開催(経費として計上)し、こういった面でも投資した資金以上に、実質的な利益の還元を享受できました。
KENKOU COFFEE & DRAFT BEERは、ドラゴンブリッジの顔が見える場所、DHCマリーナから徒歩1分の場所にありました。
当初、KENKOU GROUP代表のグエンと親族が別の場所でレストランを始め(2022年2月~)、その後、複数人で費用を出し合い、2022年6月からドラゴンブリッジ近くの場所へ完全移転というかたちになりました。
コロナの流行が収束する前の2022年6月、5名の出資者で合計7億ドン(約420万円)を出し、ドラゴンブリッジ近くで出店準備を始めました。初期費用の7億ドン(約420万円)のうち、1.2億ドン(約72万円)を6ヶ月分の敷金、リフォーム費用に3億ドン(約180万円)、残りの2.8億ドン(約170万円)を厨房設備、家具等のインテリア費用に充当しました。
2022年6月7日からリフォームを行い、2022年6月27日からレストランとして営業を開始しています。2022年7月のオープン初月の売上は266,429,608ドン(約160万円)、41,927,490ドン(約25万円)の営業損失(赤字)となりました。翌月(8月)から11月も毎月1,200万ドンから2700万ドン(約7万円から16万円)ほどの営業損失(赤字)が続きます。しかし2022年12月は831,400ドン(約5,000円)と少額ながら黒字となります。
なお、2022年8月4日までは移転前の店舗(2022年2月から2022年8月上旬まで営業)の経費も計上しており、7月の赤字の理由にもなっています。
2022年12月は少額ながら単月で黒字化しましたが、2023年1月に再び15,089,300ドン(約9万円)の赤字へ転落してしまいます。しかし2023年2月は17,969,000ドン(約11万円)の営業利益(黒字)を達成し、以降は赤字に落ちることなく利益が毎月右肩上がりで成長していく安定黒字期へ入ります。
2023年には年間総売上が2,603,824,000ドン(約1,570万円)となり、営業利益で133,325,500ドン(約80万円)と年間でも黒字を達成しました。
2024年はさらに大きく飛躍し、年間売上が30億ドンを突破(3,032,922,080ドン、約1,830万円)、年間の営業利益も 435,449,994ドン(約260万円)と2023年よりもさらに高い数字になりました。
2025年も前半は好調でした。2025年1月から6月の半年間の総売上で1,756,410,900ドン(約1,060万円)、営業利益で262,173,372ドン(約160万円)まで成長しました。前半の半年間は、毎月安定して高い売上と利益を出しており、特に3月は単月で過去最高の売上となる376,409,000ドン(約230万円)、過去最高の営業利益で98,785,000ドン(約60万円)まで成長しました。
しかし2025年7月からは再び赤字へと転落します。2025年7月単月の売上で242,058,600ドン(約150万円)、営業損失(赤字)が26,091,602ドン(約16万円)となります。11月には単月の売上が61,971,550ドン(約38万円)まで落ち込み、営業損失(赤字)が60,617,950ドン(約37万円)と過去最悪になりました。
撤退前の最後の2026年1月で売上は 91,596,590ドン(約55万円)に留まり、13,468,399ドン(約8万円)の赤字でドラゴンブリッジ近くの飲食店運営に幕を閉じました。
ハン川方面のナイトマーケット入口付近という立地から、夕方以降に開かれるナイトマーケットの来場客を取り込むことができました。
2025年6月まで、KENKOU DRAFT BEERもあったドラゴンブリッジを通る大通りの北側でソンチャナイトマーケットが開かれていました。大通りの北側でソンチャナイトマーケットが開催されている間は、DHCマリーナ(ハン川沿いでドラゴンブリッジの顔が見えるエリア)とソンチャナイトマーケットの間に人の流れがあり、この間で営業するKENKOU DRAFT BEERへも人の導線ができていました。特にドラゴンブリッジのファイヤーショーがある週末は多くの人が通りました。
しかし2025年7月になると、 このナイトマーケットがドラゴンブリッジを走る大通りの南側へと移転します。大通りを挟んで南側にナイトマーケットが移動したことにより、DHCマリーナからナイトマーケットへ向かう人、ナイトマーケットからDHCマリーナへ向かう人の流れがなくなってしまいました。
移転前と移転後のナイトマーケットの位置関係を地図上で表現したイラスト
ハン川沿いから見たソンチャナイトマーケット方面。
奥に見えるのがナイトマーケットハン川(DHCマリーナ)側のゲートです。ナイトマーケットがこちらで営業していた当時でも、昼間は人通りもほとんどありません。ゲート近く、写真の左側奥でKENKOU DRAFT BEERは営業していました。
奥に見えるのがナイトマーケット。夜もそこまで人通りの多い場所ではありませんでしたが、それでもナイトマーケットに向う流れ、ナイトマーケットからDHCマリーナ(ハン川沿い)へ向う人の流れがありました。
ソンチャナイトマーケットがあった時は、夕方以降から徐々にDHCマリーナからソンチャナイトマーケット、ソンチャナイトマーケットからDHCマリーナへ向かう人の流れが発生しました。ただ昼間は人通りがほとんどなく、また観光スポットの近くでもナイトマーケット以外の人の動線がありません。市街地の方が人通りは多く、ナイトマーケットがなければほとんど人が通らない道にKENKOU DRAFT BEERはありました。
つまりナイトマーケットがなければ立地としての優位性がほとんどなく、 ナイトマーケットが無くなればお客様の数が減ることも必然でした。
初期費用の改装コストを最小限に抑えてオープンした店内
もともとKENKOU DRAFT BEERの物件は、オーナーの通知から1ヶ月以内に立ち退くという条件付きの契約でした。このリスクをあえて受け入れる対価として、賃料を月額2,000万ドン(約12万円)という破格の安さに抑えてもらいました。
ナイトマーケットが移動するかもしれないという理由ではなく、いつ立ち退きになっても致命傷を負わないよう、内装は過度な装飾を排した簡易的なリフォームに留め、初期投資を7億ドン(約420万円。店舗の敷金含む)まで圧縮しました。
閉店の理由も立ち退き通告ではありませんでした。ナイトマーケットの移転に伴い集客力が低下したことによる、自主的な判断です。とはいえ、あらかじめ初期費用を抑えるという判断自体は、間違いではありませんでした。
ベトナムのように流動性の高い不動産市場では、長期経営にこだわらず、早期の資本回収を優先して出店を判断するのも1つの戦略です。今回のケースも、その合理的な戦略に基づいたものでした。
この戦略が最も輝いたのは、ダナンの気候特性とターゲット層が合致したピーク時でした。雨がほとんど降らなくなり、観光客も多くなる3月から8月を最大の稼ぎ時と定め、韓国や台湾、欧米からの外国人観光客をメインターゲットに据えた集客が的中しました。乾季の外国人観光客が多いシーズンの売上により、初期投資の全額回収に成功しました。
2025年7月、不動産開発が始まり、ナイトマーケットの移転によって観光客の人流が激減。同月はシーズン中の乾季にもかかわらず、26,091,602ドン(約16万円)の赤字に転落しました。追い打ちをかけるように9月からは雨季が始まり、外国人観光客の足が遠のきました。
赤字転落後、ターゲットを地元ベトナム人へと切り替える「ピボット」を決行しました。施策が功を奏し、2026年1月には雨季にも関わらず、売上が91,596,590ドン(約55万円)まで回復。赤字額も13,468,399ドン(約8万円)まで縮小しました。
ここで生きたのが、初期に結んだ「安価な家賃」です。従業員の数も減らしました。固定費を低く抑えられたからこそ、売上減が即座に致命傷にならず、時間的猶予を確保することができました。
赤字が縮小し、再び観光客が戻る3月の乾季を目前に控えながら、2026年2月にあえて撤退を選んだのは、冷静なリスク判断の結果です。初期投資はすでに回収済みで、再浮上の可能性はありましたが、立ち退きリスクなども総合的に考慮し、撤退を決断しました。
ベトナムでの飲食店経営においても、ただ粘ることだけが正解ではありません。状況を見極め、潔く身を引くための引き際をあらかじめ設定しておくこと。それこそが、不確実性の高い市場における成功戦略と言えるのではないでしょうか。
ベトナムでの飲食店進出において、一人のパートナーやコンサルタントの言葉だけに依存するのは大きなリスクを伴います。私たちはダナンの現地事業者として、皆様のファーストコンタクト先、あるいは意思決定の精度を高めるためのセカンドオピニオンとして、リアルな視点を提供します。
飲食領域における弊社の強みとサポート領域
ベトナム人オーナー名義での契約実務: 現地事情に即した安全な契約の構築。
サプライチェーン: 信頼できる仕入先の選定と紹介。
ライセンス取得代行: 複雑な営業許可・各種ライセンスの取得。
人材採用: マネージャークラスから現場スタッフまで採用支援。
多角的な集客支援: オンライン施策からオフラインイベントまで、人流を捉えるマーケティング。
ベトナムでのビジネスにも絶対はありません。しかし準備によってリスクを最小化することは可能です。ダナンでの挑戦を、単発の出店という点ではなく、継続的な事業成長という線にするために、まずは私たちの経験を、貴社の戦略に役立ててください。






観光ツアー
メールお問い合わせ
フォーム 。